土. 6月 6th, 2026

契約類型に応じた契約解除の相違に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1      
贈与契約において、受贈者が、受贈の見返りとして贈与者を扶養する義務を負担していたにもかかわらず、この扶養する義務の履行を怠る場合には、贈与者は、贈与契約を解除することができる。

2      
売買契約において買主から売主に解約手付が交付された場合に、売主が売買の目的物である土地の移転登記手続等の自己の履行に着手したときは、売主は、まだ履行に着手していない買主に対しても、手付倍返しによる解除を主張することはできない。

3      
賃貸借契約において、賃借人の賃借物に対する使用方法が著しく信頼関係を破壊するものである場合には、賃貸人は、催告を要せずにただちに契約を解除することができる。

4      
委任契約において、その契約が受任者の利益のためにもなされた場合であっても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等のやむを得ない事情があるときはもちろん、また、そのような事情がないときでも、委任者が解除権自体を放棄したとは解されないときは、委任者は、自己の利益のためになお解除権を行使することができる。

5      
建物の工事請負契約において、工事全体が未完成の間に注文者が請負人の債務不履行を理由に契約を解除する場合には、工事内容が可分であり、しかも当事者が既施工部分の給付に関し利益を有するときは、既施工部分については契約を解除することができず、未施工部分について契約の一部解除をすることができるにすぎない。

解答         

正解
解説
1 〇
贈与契約において、受贈者が、受贈の見返りとして贈与者を扶養する義務を負担していたにも関わらず、この扶養する義務の履行を怠る場合には、贈与者は、贈与契約を解除することができる。

・負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する(民法 第五百五十三条)

2 ×
売買契約において買主から売主に解約手付が交付された場合に、売主が売買の目的物である土地の移転登記手続等の自己の履行に着手したときは、売主は、まだ履行に着手していない買主に対しても、手付倍返しによる解除を主張することはできない

・買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない(民法 第五百五十七条)

3 〇
賃貸借契約において、賃借人の賃借物に対する使用方法が著しく信頼関係を破壊するものである場合には、賃貸人は、催告を要せずにただちに契約を解除することができる。

賃貸借契約の当時者の一方に著しい不信行為があつた場合の契約の解除と催告の要否 (最判昭和27年4月25日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和27年4月25日)

4 〇
委任契約において、その契約が受任者の利益のためにもなされた場合であっても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等のやむを得ない事情があるときはもちろん、また、そのような事情がないときでも、委任者が解除権自体を放棄したとは解されないときは、委任者は、自己の利益のためになお解除権を行使することができる。

・委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる(民法 第六百五十一条)

5  〇
建物の工事請負契約において、工事全体が未完成の間に注文者が請負人の債務不履行を理由に解除する場合には、工事内容が可分であり、しかも当事者が既施行部分の給付に関し利益を有するときは、既施行部分については契約を解除することができず、未施工部分について契約の一部解除をすることができるにすぎない。

工事未完成の間における既施工部分についての請負契約解除の可否 (最判昭和56年2月17日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和56年2月17日)


■ 判例

賃貸借契約の当時者の一方に著しい不信行為があつた場合の契約の解除と催告の要否 (最判昭和27年4月25日)

「賃貸借は当時者相互の信頼関係を基礎とする継続的契約であるから、賃貸借の継続中に、当事者の一方に、その義務に違反し信頼関係を裏切つて、賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめるような不信行為のあつた場合には、相手方は、民法第五四一条所定の催告を要せず、賃貸借を将来に向つて解除することができるものと解すべきである」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和27年4月25日)


工事未完成の間における既施工部分についての請負契約解除の可否 (最判昭和56年2月17日)

「建物等の工事未完成の間に注文者が請負人の債務不履行を理由に請負契約を解除する場合において、工事内容が可分であり、かつ、当事者が既施工部分の給付について利益を有するときは、特段の事情のない限り、右部分についての契約を解除することはできない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和56年2月17日)


■ 民法

(負担付贈与)
第五百五十三条 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

(手付)
第五百五十七条 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
2 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。

(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
 一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
 二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

投稿者 Ren Yababa

邪抜刃 廉(やばば れん)a.k.a.フクイレン