金. 10月 23rd, 2026

A・B・Cの3人が、甲土地、乙土地、丙土地のすべてについて、どれも3分の1ずつの持分権をもって共有している場合の共有物分割に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定及び判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア      
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるから、たとえA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効であり、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができる。

イ      
Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、これらを一括して分割の対象としてAが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることができる。

ウ      
Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、乙土地および丙土地については共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることができる。

エ      
Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、Aの申立てがあれば、甲土地、乙土地および丙土地をAの単独所有とし、BおよびCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない。

オ      
甲土地、乙土地および丙土地についてのBおよびCの共有持分権がDに譲渡された場合には、その旨の移転登記がないときでも、Aは、BおよびCに対しては甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することはできない。

1 ア・イ   
2 ア・オ   
3 イ・ウ   
4 ウ・エ   
5 エ・オ   

正解 3
解説
ア ×
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるから、たとえA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効であり、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができる。

・各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない(民法 第二百五十六条)

イ 〇
Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、これらを一括して分割の対象としてAが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることができる。

・ 森林法共有林事件(最判昭和62年4月22日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和62年4月22日)

・ 共有物分割ならびに所有権確認等反訴請求(最判昭和45年11月6日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和45年11月6日)

ウ 〇
Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、乙土地および丙土地については共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることができる。

・ 森林法共有林事件(最判昭和62年4月22日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和62年4月22日)

エ ×
Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、Aの申立てがあれば、甲土地、乙土地および丙土地をAの単独所有とし、BおよびCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない。

・ 全面的価格賠償が認められる要件(最判平成8年10月31日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成8年10月31日)

オ ×
Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、Aの申立てがあれば、甲土地、乙土地および丙土地をAの単独所有とし、BおよびCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない。 オ.甲土地、乙土地および丙土地についてのBおよびCの共有持分権がDに譲渡された場合には、その旨の移転登記がないときでも、Aは、BおよびCに対しては甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することはできない。

・不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない(民法 第百七十七条)

・ 共有物分割請求(最判昭和46年6月18日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和46年6月18日)


■ 判例

・ 森林法共有林事件(最判昭和62年4月22日)

「一 森林法一八六条本文と憲法二九条二項
二 民法二五八条による共有物の現物分割と価格賠償の方法による調整
三 数か所に分かれて存在する多数の共有不動産についての民法二五八条による現物分割といわゆる一括分割
四 民法二五八条による多数共有者間の現物分割といわゆる一部分割」

「一 森林法一八六条本文は、憲法二九条二項に違反する。
二 民法二五八条により共有物の現物分割をする場合には、その一態様として、持分の価格を超える現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせて過不足を調整することも許される。
三 数か所に分かれて存在する多数の共有不動産について、民法二五八条により現物分割をする場合には、これらを一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの不動産を各共有者の単独所有とすることも許される。
四 多数の者が共有する物を民法二五八条により現物分割する場合には、分割請求者の持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残す方法によることも許される」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和62年4月22日)

・ 共有物分割ならびに所有権確認等反訴請求(最判昭和45年11月6日)

「民法二五八条によつてなされる数個の共有物の現物分割が共有者においてそれぞれ各個の物の単独所有権を取得する方法によることが許されるとされた事例」

「数個の共有建物が一筆の土地上にあり外形上一団の建物とみられる場合に、民法二五八条により右建物につき現物分割をするには、右建物を一括して分割の対象とし、共有者がそれぞれ各個の建物の単独所有権を取得する方法によることも許される」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和45年11月6日)

・ 全面的価格賠償が認められる要件(最判平成8年10月31日)

「いわゆる全面的価格賠償の方法により共有物を分割することが許されるとされた事例」

「共有土地の分割をする場合において、共有者の一人である甲が二二八分の二二三の持分を有するのに対し、甲以外の五名の共有者の持分は各二二八分の一であり、右持分に相当する土地は、面積の合計が三二・一平方メートルにすぎず、共有土地の所在する場所等も併せ考えると社会的、経済的効用が乏しいこと、甲は、右土地を競売に付することなく、自らがこれを単独で取得するいわゆる全面的価格賠償の方法による分割を希望していること、さらに、右土地の価格が適正に評価されており、甲以外の共有者に対する持分の価格の賠償が困難であるとは考えられないことなど判示の事実関係の下においては、右土地を甲に取得させるのが相当であり、かつ、価格賠償の方法によっても共有者間の実質的公平を害するおそれはないものと認められるから、全面的価格賠償の方法により右土地を分割することが許される」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成8年10月31日)

・ 共有物分割請求(最判昭和46年6月18日)

「 一、民法二五八条一項にいう「共有者ノ協議調ハサルトキ」の意義
二、共有物分割訴訟と持分譲受の登記
三、民法二五八条二項にいう「現物ヲ以テ分割ヲ為スコト能ハサルトキ」の意義」

「一、民法二五八条一項にいう「共有者ノ協議調ハサルトキ」とは、共有者の一部に共有物分割の協議に応ずる意思がないため共有者全員において協議をすることができない場合を含むものであつて、現実に協議をしたうえで不調に終わつた場合に限られるものではない。
二、不動産の共有物分割訴訟においては、共有者間に持分の譲渡があつても、その登記が存しないため、譲受人が持分の取得をもつて他の共有者に対抗することができないときは、共有者全員に対する関係において、右持分がなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割を命ずべきである。
三、民法二五八条二項にいう「現物ヲ以テ分割ヲ為スコト能ハサルトキ」とは、現物分割が物理的に不可能な場合のみを指称するのではなく、社会通念土適正な現物分割が著るしく困難な場合をも包含するものと解すべきである」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和46年6月18日)


■ 民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。


投稿者 Ren Yababa

邪抜刃 廉(やばば れん)a.k.a.フクイレン