婚約、婚姻および離婚に関する以下の相談に対する回答のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
ア
<相談> 私はAとの婚約にあたりAに対して結納金100万円を贈与したのですが、結局は婚姻に至りませんでした。私はAに対して結納金100万円の返還を請求できるでしょうか。
<回答> 結納は婚姻の成立を確証し、併せて当事者間の情宜を厚くする目的で授受される一種の贈与とされています。婚姻が解消された場合には原則として返還すべきものですので、あなたには結納金の返還を請求できる権利があります。
イ
<相談> 私は事実婚状態にあったBと合意のうえ入籍することにして婚姻届を作成しましたが、提出前にBは交通事故に遭い、現在昏睡状態にあります。こうした状態でも先に作成した婚姻届を提出すれば、私はBと正式に婚姻できるのでしょうか。
<回答> 判例によれば、婚姻が有効に成立するためには、届出時点における当事者の婚姻意思が必要です。婚姻届作成後に翻意したというような特段の事情がないとしても、現在Bは意思能力を欠いた状態ですので、婚姻届を提出したとしても婚姻の効力は生じません。
ウ
<相談> 私は配偶者Cとの間に子がいますが、Cは5年前に家を出て他で生活しており、子の養育費はすべて私が負担しています。Cに対して離婚訴訟を提起するにあたり、併せてこの間の養育費の支払いを求めることができるでしょうか。
<回答> 子の監護に要する費用は、婚姻から生じる費用です。婚姻費用の請求は婚姻の継続を前提とする請求であるのに対して、離婚訴訟は婚姻の解消を目指す訴訟ですから、このように性質が異なる訴訟を一緒に行うことはできません。離婚を申し立てる前に、監護費用の支払いを求める訴えを別途提起する必要があります。
解答
正解
ア
解説
※ 法改正により選択肢エが成立しなくなったため、改編
じょうぎ
【情宜・情誼】
友人や師弟などの間の情合い。交遊のまごころ。
「―に厚い」
判例「婚姻の届書が受理された当時本人が意識を失つていた場合と婚姻の届出の効力」
「事実上の夫婦共同生活関係にある者が、婚姻意思を有し、その意思に基づいて婚姻の届書を作成したときは、届書の受理された当時意識を失つていたとしても、その受理前に翻意したなど特段の事情のないかぎり、右届書の受理により婚姻は有効に成立する。」
(
最判昭和44年4月3日)
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