不利益処分の取消訴訟において原告勝訴判決(取消判決)が確定した場合に、当該判決について生ずる効力に関する次のア~エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア
処分をした行政庁は、判決確定の後、判決の拘束力により、訴訟で争われた不利益処分を職権で取り消さなければならない。
イ
判決後に新たな処分理由が発生した場合、処分をした行政庁は、これを根拠として、判決の拘束力と関わりなく、原告に対しより厳しい内容の不利益処分を行うことができる。
ウ
不利益処分をした処分庁が地方公共団体に所属する場合、不利益処分にかかわった関係行政庁のうち国に所属する行政庁には、判決の拘束力は及ばない。
エ
判決の拘束力が生じるのは主文に限られず、主文に含まれる判断を導くために不可欠な理由中の判断についても及ぶ。
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
解答
正解
4解説
ア ×
処分をした行政庁は、判決確定の後、判決の拘束力により、訴訟で争われた不利益処分を
・処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する(行政事件訴訟法 第三十二条)
イ 〇
判決後に新たな処分理由が発生した場合、処分をした行政庁は、これを根拠として、判決の拘束力と関わりなく、原告に対しより厳しい内容の不利益処分を行うことができる。
ウ ×
不利益処分をした処分庁が地方公共団体に所属する場合、不利益処分にかかわった関係行政庁のうち国に所属する行政庁には、判決の拘束力は
・処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する(行政事件訴訟法 第三十三条)
エ 〇
判決の拘束力が生じるのは主文に限られず、主文に含まれる判断を導くために不可欠な理由中の判断についても及ぶ。
・ 高速旋回式バレル研磨法事件(最判平成4年4月28日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成4年4月28日)
■ 判例
・ 高速旋回式バレル研磨法事件(最判平成4年4月28日)
「 一 特定の引用例から当該発明を容易に発明することができたとはいえないことを理由として特許無効審決の取消判決がされた場合と再度の審決の取消訴訟における主張立証
二 特定の引用例から当該発明を容易に発明することができたとはいえないことを理由として特許無効審決の取消判決がされた後に同一引用例の外に他の引用例等からも右発明を容易に発明することができたとはいえないとした再度の審決が取消判決の拘束力に従ったものとして適法であるとされた事例」
「 一 特定の引用例から当該発明を容易に発明することができたとはいえないことを理由として特許無効審決の取消判決がされ、その拘束力に従って同一引用例から右発明を容易に発明することができたとはいえないとした再度の審決がされた場合、その取消訴訟において、同一引用例から右発明を容易に発明することができることを主張立証することは、許されない。
二 特定の引用例から当該発明を容易に発明することができたとはいえないことを理由として特許無効審決の取消判決がされた後の再度の審判手続において、同一引用例の外に他の引用例等からも右発明を容易に発明することができたとの主張がされた場合でも、追加された引用例等のみから容易に発明することができたと主張するものではなく、また、右引用例等が前訴で検討された特定の引用例とあいまって初めて容易に発明することができたと主張するものでないときは、右特定の引用例及び追加された引用例等から右発明を容易に発明することができたとはいえないとした再度の審決は、取消判決の拘束力に従ったものとして、その取消訴訟でこれを違法とすることはできない」
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成4年4月28日)
■ 行政事件訴訟法
(取消判決等の効力)
第三十二条 処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。
2 前項の規定は、執行停止の決定又はこれを取り消す決定に準用する。
第三十三条 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。
2 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。
3 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。
4 第一項の規定は、執行停止の決定に準用する。