次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄〔 ア 〕~〔 エ 〕にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
建築確認申請書に係る建築物の建築計画をめぐり建築主と付近住民との間に紛争が生じ、関係地方公共団体により建築主に対し、付近住民と話合いを行って円満に紛争を解決するようにとの内容の行政指導が行われ、建築主において〔 ア 〕に右行政指導に応じて付近住民と協議をしている場合においても、そのことから常に当然に建築主が建築主事に対し確認処分を〔 イ 〕することについてまで〔 ア 〕に同意をしているものとみるのは相当でない。しかしながら、・・・関係地方公共団体において、当該建築確認申請に係る建築物が建築計画どおりに建築されると付近住民に対し少なからぬ日照阻害、風害等の被害を及ぼし、良好な居住環境あるいは市街環境を損なうことになるものと考えて、当該地域の生活環境の維持、向上を図るために、建築主に対し、当該建築物の建築計画につき一定の譲歩・協力を求める行政指導を行い、建築主が〔 ア 〕にこれに応じているものと認められる場合においては、〔 ウ 〕上合理的と認められる期間建築主事が申請に係る建築計画に対する確認処分を〔 イ 〕し、行政指導の結果に期待することがあったとしても、これをもって直ちに違法な措置であるとまではいえないというべきである。もっとも、右のような確認処分の〔 イ 〕は、建築主の〔 ア 〕の協力・服従のもとに行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまるものであるから、建築主において自己の申請に対する確認処分を〔 イ 〕されたままでの行政指導には応じられないとの意思を明確に表明している場合には、かかる建築主の明示の意思に反してその受忍を強いることは許されない筋合いのものであるといわなければならず、建築主が右のような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には、当該建築主が受ける不利益と右行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、右行政指導に対する建築主の不協力が〔 ウ 〕上正義の観念に反するものといえるような〔 エ 〕が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を〔 イ 〕することは、違法であると解するのが相当である。(最一小判昭和60年7月16日民集39巻5号989頁)
1 強制 2 慣習法 3 社会通念 4 特段の事情 5 通知 6 悪意 7 事実の認定 8 法令の解釈 9 併合 10 衡平 11 善意 12 政策実施 13 任意 14 適用除外 15 却下 16 先例 17 拒否 18 審査請求 19 留保 20 信頼保護
解答
〔 ア 〕
〔 ウ 〕
〔 エ 〕
正解
ア 13 イ 19 ウ 3 エ 4解説
〔 ア 〕13 任意〔 イ 〕19 留保
〔 ウ 〕 3 社会通念
〔 エ 〕 4 特段の事情
建築確認申請書に係る建築物の建築計画をめぐり建築主と付近住民との間に紛争が生じ、関係地方公共団体により建築主に対し、付近住民と話合いを行って円満に紛争を解決するようにとの内容の行政指導が行われ、建築主において〔 ア 〕に右行政指導に応じて付近住民と協議をしている場合においても、そのことから常に当然に建築主が建築主事に対し確認処分を〔 イ 〕することについてまで〔 ア 〕に同意をしているものとみるのは相当でない。しかしながら、・・・関係地方公共団体において、当該建築確認申請に係る建築物が建築計画どおりに建築されると付近住民に対し少なからぬ日照阻害、風害等の被害を及ぼし、良好な居住環境あるいは市街環境を損なうことになるものと考えて、当該地域の生活環境の維持、向上を図るために、建築主に対し、当該建築物の建築計画につき一定の譲歩・協力を求める行政指導を行い、建築主が〔 ア 〕にこれに応じているものと認められる場合においては、〔 ウ 〕上合理的と認められる期間建築主事が申請に係る建築計画に対する確認処分を〔 イ 〕し、行政指導の結果に期待することがあったとしても、これをもって直ちに違法な措置であるとまではいえないというべきである。もっとも、右のような確認処分の〔 イ 〕は、建築主の〔 ア 〕の協力・服従のもとに行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまるものであるから、建築主において自己の申請に対する確認処分を〔 イ 〕されたままでの行政指導には応じられないとの意思を明確に表明している場合には、かかる建築主の明示の意思に反してその受忍を強いることは許されない筋合いのものであるといわなければならず、建築主が右のような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には、当該建築主が受ける不利益と右行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、右行政指導に対する建築主の不協力が〔 ウ 〕上正義の観念に反するものといえるような〔 エ 〕が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を〔 イ 〕することは、違法であると解するのが相当である。(最一小判昭和60年7月16日民集39巻5号989頁)
・ 品川マンション事件 (最判昭和60年7月16日)判例「建築主と付近住民との紛争につき建築主に行政指導が行われていることのみを理由として建築確認申請に対する処分を留保することと国家賠償法1条1項所定の違法性」
「建築主が、建築確認申請に係る建築物の建築計画をめぐつて生じた付近住民との紛争につき関係機関から話合いによつて解決するようにとの行政指導を受け、これに応じて住民と協議を始めた場合でも、その後、建築主事に対し右申請に対する処分が留保されたままでは行政指導に協力できない旨の意思を真摯かつ明確に表明して当該申請に対し直ちに応答すべきことを求めたときは、行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえるような特段の事情が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで右申請に対する処分を留保することは、国家賠償法1条1項所定の違法な行為となる。」
「建築主において建築主事に対し、確認処分を留保されたままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明し、当該確認申請に対し直ちに応答すべきことを求めているものと認められるときには、他に前記特段の事情が存在するものと認められない限り、当該行政指導を理由に建築主に対し確認処分の留保の措置を受忍せしめることの許されないことは前述のとおりであるから、それ以後の右行政指導を理由とする確認処分の留保は、違法となるものといわなければならない。」
「建築主が確認処分の留保につき任意に同意をしているものと認められる場合のほか、必ずしも右の同意のあることが明確であるとはいえない場合であつても、諸般の事情から直ちに確認処分をしないで応答を留保することが法の趣旨目的に照らし社会通念上合理的と認められるときは、その間確認申請に対する応答を留保することをもつて、確認処分を違法に遅滞するものということはできない」
(最判昭和60年7月16日)
[…] ・問題42【行政法・多肢】行政手続法 第三十六条の二 ・問題43【行政法・多肢】品川マンション事件 (最判昭和60年7月16日) ・問題44【行政法・記述】 ・問題45【民法・記述】 […]