火. 4月 28th, 2026

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。CがAに対して負うべき損害賠償額(以下、「本件損害賠償額」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1      
本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに責任能力があることが必要であるので、本件ではAの過失を斟酌することはできない。

2      
本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに事理弁識能力があることは必要でなく、それゆえ、本件ではAの過失を斟酌することができる。

3      
本件損害賠償額を定めるにあたって、BとAとは親子関係にあるが、BとAとは別人格なので、Bが目を離した点についてのBの過失を斟酌することはできない。

4      
本件損害賠償額を定めるにあたって、Aが罹患(りかん)していた疾患も一因となって死亡した場合、疾患は過失とはいえないので、当該疾患の態様、程度のいかんにかかわらずAの疾患を斟酌することはできない。

5      
本件損害賠償額を定めるにあたって、Aの死亡によって親が支出を免れた養育費をAの逸失利益から控除することはできない。

解答         

正解
解説
・事理を弁識する能力

AI による概要

事理弁識能力(じりべんしきのうりょく)とは、自分の行為の結果や法的な意味(善悪・損得など)を合理的に理解・判断する能力のこと。主に成年後見制度で、認知症や精神障害による判断能力の低下(「欠く常況」「著しく不十分」など)を判断する基準として用いられる。


・責任能力

AI による概要

責任能力とは、自身の行為の善悪・違法性を判断し(事理弁識能力)、それに従って行動を制御する能力のこと。刑法上、この能力がない(心神喪失)と無罪、著しく低い(心神耗弱)と減刑される。判断は精神鑑定の医学的知見を基に、最終的に裁判官が犯行時の状態で下す。


判例「民法第722条第2項により被害者の過失を斟酌するについて必要な被害者の弁識能力の程度」

「民法第722条第2項により被害者の過失を斟酌するには、被害者たる未成年者が、事理を弁識するに足る知能を具えていれば足り、行為の責任を弁識するに足る知能を具えていることを要しないものと解すべきである。」

( 最大判昭和39年6月24日)


判例「慰藉料を請求する父母の一方に過失のある場合と民法第722条第2項」

「幼児の生命を害された慰藉料を請求する父母の一方に、その事故の発生につき監督上の過失があるときは、父母の双方に民法第722条第2項の適用があるものと解すべきである。」

「民法722条にいわゆる過失とは単に被害者本人の過失のみでなく、ひろく被害者側の過失をも包含する趣旨と解するを相当とする。」

( 最判昭和34年11月26日)


判例「損害賠償額の算定に当たって加害行為前から存在した被害者の疾患をしんしゃくすることの可否」

「被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とがともに原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法722条2項の規定を類推適用して、被害者の疾患をしんしゃくすることができる。」

「このような場合においてもなお、被害者に生じた損害の全部を加害者に賠償させるのは、損害の公平な分担を図る損害賠償法の理念に反するものといわなければならないからである。」

( 最判平成4年6月25日)


判例「死亡した幼児の財産上の損害賠償額の算定と将来得べかりし収入額から養育費を控除することの可否」

「交通事故により死亡した幼児の財産上の損害賠償額の算定については、幼児の損害賠償債権を相続した者が一方で幼児の養育費の支出を必要としなくなつた場合においても、将来得べかりし収入額から養育費を控除すべきではない。」

( 最判昭和53年10月20日)

投稿者 renyababa

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