土. 6月 6th, 2026

労働組合の活動に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1      
組合員の生活向上のために、統一候補を決定し、組合を挙げてその選挙運動を推進することなども労働組合の活動として許されるので、組合の方針に反し対立候補として立候補した組合員を統制違反者として処分することも許される。

2      
労働者の権利利益に直接関係する立法や行政措置を促進し、またはこれに反対する活動は、政治活動としての一面をもち、組合員の政治的思想・見解等とも無関係ではないが、労働組合の目的の範囲内の活動とみることができるので、組合員に費用負担などを求めることも許される。

3      
国民全体の奉仕者である公務員の争議行為を禁止すること自体は憲法に違反しないが、争議行為をあおる行為の処罰が憲法上許されるのは、違法性が強い争議行為に対し、争議行為に通常随伴しない態様で行われる場合に限られる。

4      
公務員の争議行為は禁止されているが、政治的目的のために行われる争議行為は、表現の自由としての側面も有するので、これを規制することは許されない。

5      
人事院勧告は公務員の争議行為禁止の代償措置であるから、勧告にしたがった給与改定が行われないような場合には、それに抗議して争議行為を行った公務員に対し懲戒処分を行うことは許されない。

解答         

正解
解説
1 ×
組合員の生活向上のために、統一候補を決定し、組合を挙げてその選挙運動を推進することなども労働組合の活動として許されるので、組合の方針に反し対立候補として立候補した組合員を統制違反者として処分することも許される

三井美唄炭鉱労組事件 (最大判昭和43年12月4日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最大判昭和43年12月4日)

2 〇
労働者の権利利益に直接関係する立法や行政措置を促進し、またはこれに反対する活動は、政治活動としての一面をもち、組合員の政治的思想・見解等とも無関係ではないが、労働組合の目的の範囲内の活動とみることができるので、組合員に費用負担などを求めることも許される。

国労広島地本事件 (最判昭和50年11月28日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和50年11月28日)

3 ×
国民全体の奉仕者である公務員の争議行為を禁止すること自体は憲法に違反しないが、争議行為をあおる行為の処罰が憲法上許されるのは、違法性が強い争議行為に対し、争議行為に通常随伴しない態様で行われる場合に限られる

全農林警職法事件 (最大判昭和48年4月25日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最大判昭和48年4月25日)

4 ×
公務員の争議行為は禁止されているが、政治的目的のために行われる争議行為は、表現の自由としての側面も有するので、これを規制することは許されない

全農林警職法事件 (最大判昭和48年4月25日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最大判昭和48年4月25日)

5 ×
人事院勧告は公務員の争議行為禁止の代償措置であるから、勧告にしたがった給与改定が行われないような場合には、それに抗議して争議行為を行った公務員に対し懲戒処分を行うことは許されない

全農林人勧凍結反対スト事件 (最判平成12年3月17日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成12年3月17日)


■ 判例

三井美唄炭鉱労組事件 (最大判昭和43年12月4日)

「 一 労働組合の統制権と憲法第二八条
二 公職選挙への立候補の自由と憲法第一五条第一項
三 労働組合の統制権と組合員の立候補の自由」

「一 労働組合は、憲法第二八条による労働者の団結権保障の効果として、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内においては、その組合員に対する統制権を有する。
二 公職の選挙に立候補する自由は、憲法第一五条第一項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである。
三 労働組合が、地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進している場合において、統一候補の選にもれた組合員が、組合の方針に反して立候補しようとするときは、これを断念するよう勧告または説得することは許されるが、その域を超えて、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に統制違反者として処分することは、組合の統制権の限界を超えるものとして許されない」


国労広島地本事件 (最判昭和50年11月28日)

「一、労働組合が他の労働組合の闘争支援資金として収する臨時組合費と組合員の納付義務
二、労働組合がいわゆる安保反対闘争の実施費用として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務
三、労働組合がいわゆる安保反対闘争により不利益処分を受けた組合員の救援費用として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務
四、労働組合が特定の公職選挙立候補者の選挙運動の支援資金として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務」

「一、労働組合が他の労働組合の闘争支援資金として徴収する臨時組合費については、右支援が法律上許されない等特別の場合でないかぎり、組合員はこれを納付する義務を負う。
二、労働組合がいわゆる安保反対闘争実施の費用として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負わない。
三、労働組合がその実施したいわゆる安保反対闘争により民事上又は刑事上の不利益処分を受けた組合員を救援する費用として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負う。
四、公職選挙に際し、労働組合が特定の立候補者の選挙運動支援のためその所属政党に寄付する資金として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負わない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和50年11月28日)


全農林警職法事件 (最大判昭和48年4月25日)

「政治的目的のための争議行為と憲法二八条」

「私企業の労働者であると、公務員を含むその他の勤労者であるとを問わず、使用者に対する経済的地位の向上の要請とは直接関係のない警察官職務執行法の改正に対する反対のような政治的目的のために争議行為を行なうことは、憲法二八条とは無関係なものである」

(裁判所 裁判例結果詳細 最大判昭和48年4月25日)


全農林人勧凍結反対スト事件 (最判平成12年3月17日)

「所論引用の結社の自由及び団結権の保護に関する条約(昭和四〇年条約第七号。 いわゆるILO八七号条約)三条並びに経済的、社会的及び文化的権利に関する国 際規約(昭和五四年条約第六号)八条一項(C)は、いずれも公務員の争議権を保 障したものとは解されず、国公法九八条二項及び三項並びに本件各懲戒処分が右各 条約に違反するものとはいえないとした原審の判断は、正当として是認することが できる。原判決に所論の違法はない。論旨は、右と異なる見解に立って原判決を論 難するものにすぎず、採用することができない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成12年3月17日)

投稿者 Ren Yababa

邪抜刃 廉(やばば れん)a.k.a.フクイレン