行政契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。見解が分かれる場合は、最高裁判所の判例による。
1
行政契約でも、その内容が国民に義務を課したり、その権利を制限するものについては、法律の留保の原則に関する侵害留保理論に立った場合、法律の根拠が必要であると解される。
2
地方公共団体が、地方自治法上、随意契約によることができない場合であるにもかかわらず、随意契約を行ったとしても、かかる違法な契約は、私法上、当然に無効となるものではない。
3
地方公共団体がごみ焼却場を建設するために、建設会社と建築請負契約を結んだ場合、ごみ焼却場の操業によって重大な損害が生ずるおそれのある周辺住民は、当該契約の締結行為について、当該地方公共団体を被告として、抗告訴訟としての差止めの訴えを提起することができる。
4
地方公共団体の長が、指名競争入札の際に行う入札参加者の指名にあたって、法令の趣旨に反して域内の業者のみを指名する運用方針の下に、当該運用方針に該当しないことのみを理由に、継続して入札に参加してきた業者を指名競争入札に参加させない判断をしたとしても、その判断は、裁量権の逸脱、濫用にはあたらず、違法ではない。
5
地方公共団体が、産業廃棄物処理施設を操業する企業との間で、一定の期日をもって当該施設の操業を停止する旨の公害防止協定を結んだものの、所定の期日を過ぎても当該企業が操業を停止しない場合において、当該地方公共団体が当該企業を被告として操業差止めを求める訴訟は、法律上の争訟に該当せず、不適法である。
解答
正解
2解説
1 ×
行政契約でも、その内容が国民に義務を課したり、その権利を制限するものについては、法律の留保の原則に関する侵害留保理論に立った場合、
・国民は契約を結ばないことが選択可能であるため、行政契約に法律の根拠は不要と考えられている
2 〇
地方公共団体が、地方自治法上、随意契約によることができない場合であるにもかかわらず、随意契約を行ったとしても、かかる違法な契約は、私法上、当然に無効となるものではない。
・ 普通地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約の効力 (最判昭和62年5月19日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和62年5月19日)
3 ×
地方公共団体がごみ焼却場を建設するために、建設会社と建築請負契約を結んだ場合、ごみ焼却場の操業によって重大な損害が生ずるおそれのある周辺住民は、当該契約の締結行為について、当該地方公共団体を被告として、
・ いわゆる抗告訴訟の対象たる行政庁の公権力行使にあたる行為の要件 (最判昭和39年10月29日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成18年10月26日)
4 ×
地方公共団体の長が、指名競争入札の際に行う入札参加者の指名にあたって、法令の趣旨に反して域内の業者のみを指名する運用方針の下に、当該運用方針に該当しないことのみを理由に、継続して入札に参加してきた業者を指名競争入札に参加させない判断をしたとしても、その判断は、裁量権の逸脱、濫用
・ 指名競争入札における村外業者 (最判平成18年10月26日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成18年10月26日)
5 ×
地方公共団体が、産業廃棄物処理施設を操業する企業との間で、一定の期日をもって当該施設の操業を停止する旨の公害防止協定を結んだものの、所定の期日を過ぎても当該企業が操業を停止しない場合において、当該地方公共団体が当該企業を被告として操業差止めを求める訴訟は、法律上の争訟
・ 公害防止協定における使用期限の定め及びその期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならない旨の定めは,廃棄物処理法の趣旨に反するか (最判平成21年7月10日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成21年7月10日)
■ 判例
・ 普通地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約の効力 (最判昭和62年5月19日)
「普通地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約は、地方自治法施行令一六七条の二第一項の掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において随意契約の方法によることが許されないことを知り又は知り得べかりし場合など当該契約を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える法令の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効となる」
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和62年5月19日)
・ いわゆる抗告訴訟の対象たる行政庁の公権力行使にあたる行為の要件 (最判昭和39年10月29日)
「国または公共団体の行なう行為のうち、それが仮りに違法なものであるとしても、正当な権限を有する機関によつて取り消されまたはその無効が確認されるまでは法律上または事実上有効なものとして取り扱われるものでなければ、いわゆる抗告訴訟の対象たる行政庁の公権力の行使にあたる行為とはいえない」
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和39年10月29日)
・ 指名競争入札における村外業者 (最判平成18年10月26日)
「村の発注する公共工事の指名競争入札に長年指名を受けて継続的に参加していた建設業者を特定年度以降全く指名せず入札に参加させなかった村の措置につき上記業者が村外業者に当たることを理由に違法とはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例」
「村の発注する公共工事の指名競争入札に昭和60年ころから平成10年度まで指名を受けて継続的に参加し工事を受注してきていた建設業者に対し,村が,村外業者に当たること等を理由に,同12年度以降全く指名せず入札に参加させない措置を採った場合において,(1)村内業者で対応できる工事の指名競争入札では村内業者のみを指名するという実際の運用基準は村の要綱等に明定されておらず,村内業者であるか否かの客観的で具体的な判定基準も明らかにされていなかったこと,(2)上記業者は,平成6年に代表者らが同村から県内の他の町へ転居した後も,登記簿上の本店所在地を同村内とし,同所に代表者の母である監査役が居住し,上記業者の看板を掲げるなどしており,平成10年度までは指名を受け,受注した工事において施工上の支障を生じさせたこともうかがわれないことなど判示の事情の下では,指名についての上記運用及び上記業者が村外業者に当たるという判断が合理的であるとし,そのことのみを理由として,村の上記措置が違法であるとはいえないとした原審の判断には違法がある。(補足意見及び反対意見がある。)」
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成18年10月26日)
・ 公害防止協定における使用期限の定め及びその期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならない旨の定めは,廃棄物処理法の趣旨に反するか (最判平成21年7月10日)
「町とその区域内に産業廃棄物処理施設を設置している産業廃棄物処分業者とが締結した公害防止協定における,上記施設の使用期限の定め及びその期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならない旨の定めは,廃棄物処理法の趣旨に反するか」
「町とその区域内に産業廃棄物処理施設を設置している産業廃棄物処分業者とが締結した公害防止協定における,上記施設の使用期限の定め及びその期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならない旨の定めは,これらの定めにより,廃棄物処理法に基づき上記業者が受けた知事の許可が効力を有する期間内にその事業又は施設が廃止されることがあったとしても,同法の趣旨に反しない」
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成21年7月10日)