土. 6月 6th, 2026

行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(以下「行政処分」という。)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1      
医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告は、行政処分に該当しない。

2      
地方公共団体が営む簡易水道事業につき、水道料金の改定を内容とする条例の制定行為は、行政処分に該当する。

3      
都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、行政処分に該当する。

4      
(旧)関税定率法の規定に基づき税関長が行う「輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある」旨の通知は、行政処分に該当しない。

5      
地方公共団体の設置する保育所について、その廃止を定める条例の制定行為は、行政処分に該当する。

解答         

正解
解説
1 ×
医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告は、行政処分に該当しない

病院開設中止の勧告と抗告訴訟の対象 (最判平成17年7月15日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成17年7月15日)

2 ×
地方公共団体が営む簡易水道事業につき、水道料金の改定を内容とする条例の制定行為は、行政処分に該当する

普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとされた事例 (最判平成18年7月14日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成18年7月14日)

3 ×
都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、行政処分に該当する

都市計画法八条一項一号の規定に基づく工業地域指定の決定は、抗告訴訟の対象とならない (最判昭和57年4月22日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和57年4月22日)

4 ×
(旧)関税定率法の規定に基づき税関長が行う「輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある」旨の通知は、行政処分に該当しない

関税定率法二一条三項の規定による税関長の通知又は同条五項の規定による税関長の決定及びその通知と抗告訴訟の対象 (最判昭和54年12月25日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和54年12月25日)

5 〇
地方公共団体の設置する保育所について、その廃止を定める条例の制定行為は、行政処分に該当する。

市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例 (最判平成21年11月26日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成21年11月26日)


■ 判例

病院開設中止の勧告と抗告訴訟の対象 (最判平成17年7月15日)

「医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの)30条の7の規定に基づき都道府県知事が病院を開設しようとする者に対して行う病院開設中止の勧告は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成17年7月15日)


普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとされた事例 (最判平成18年7月14日)

「普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為は,同条例が上記水道料金を一般的に改定するものであって,限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく,同条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないという事情の下では,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成18年7月14日)


都市計画法八条一項一号の規定に基づく工業地域指定の決定は、抗告訴訟の対象とならない (最判昭和57年4月22日)

「都市計画区域内において工業地域を指定する決定は、都市計画法八条一項一号に基づき都市計画決定の一つとしてされるものであり、右決定が告示されて効力を生ずると、当該地域内においては、建築物の用途、容積率、建ぺい率等につき従前と異なる基準が適用され(建築基準法四八条七項、五二条一項三号、五三条一項二号等)、これらの基準に適合しない建築物については、建築確認を受けることができ ず、ひいてその建築等をすることができないこととなるから(同法六条四項、五項)、右決定が、当該地域内の土地所有者等に建築基準法上新たな制約を課し、その限度で一定の法状態の変動を生ぜしめるものであることは否定できないが、かかる効果は、あたかも新たに右のような制約を課する法令が制定された場合におけると同様の当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれにすぎず、このような効果を生ずるということだけから直ちに右地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があつたものとして、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和57年4月22日)


関税定率法二一条三項の規定による税関長の通知又は同条五項の規定による税関長の決定及びその通知と抗告訴訟の対象 (最判昭和54年12月25日)

「関税定率法二一条三項の規定による税関長の通知又は同条五項の規定による税関長の決定及びその通知は、抗告訴訟の対象となる行政事件訴訟法三条二項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当する」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和54年12月25日)


市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例 (最判平成21年11月26日)

「市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為は,当該保育所の利用関係が保護者の選択に基づき保育所及び保育の実施期間を定めて設定されるものであり,現に保育を受けている児童及びその保護者は当該保育所において保育の実施期間が満了するまでの間保育を受けることを期待し得る法的地位を有すること,同条例が,他に行政庁の処分を待つことなくその施行により当該保育所廃止の効果を発生させ,入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して,直接,上記法的地位を奪う結果を生じさせるものであることなど判示の事情の下では,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成21年11月26日)

投稿者 Ren Yababa

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