木. 6月 4th, 2026

プライバシーに関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1      
何人も、その承諾なしにみだりに容貌等を撮影されない自由を有するので、犯罪捜査のための警察官による写真撮影は、犯人以外の第三者の容貌が含まれない限度で許される。

2      
前科は、個人の名誉や信用に直接関わる事項であるから、事件それ自体を公表することに歴史的または社会的な意義が認められるような場合であっても、事件当事者の実名を明らかにすることは許されない。

3      
指紋は、性質上万人不同、終生不変とはいえ、指先の紋様にすぎず、それ自体では個人の私生活や人格、思想等個人の内心に関する情報ではないから、プライバシーとして保護されるものではない。

4      
犯罪を犯した少年に関する犯人情報、履歴情報はプライバシーとして保護されるべき情報であるから、当該少年を特定することが可能な記事を掲載した場合には、特段の事情がない限り、不法行為が成立する。

5      
いわゆる住基ネットによって管理、利用等される氏名・生年月日・性別・住所からなる本人確認情報は、社会生活上は一定の範囲の他者には当然開示されることが想定され、個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえない。

解答         

正解
解説
1 ×
何人も、その承諾なしにみだりに容貌等を撮影されない自由を有するので、犯罪捜査のための警察官による写真撮影は、犯人以外の第三者の容貌が含まれない限度で許される

京都府学連事件 (最大判昭和44年12月24日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最大判昭和44年12月24日)

2 ×
前科は、個人の名誉や信用に直接関わる事項であるから、事件それ自体を公表することに歴史的または社会的な意義が認められるような場合であっても、事件当事者の実名を明らかにすることは許されない

ノンフィクション『逆転』事件 (最判平成6年2月8日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成6年2月8日)

3 ×
指紋は、性質上万人不同、終生不変とはいえ、指先の紋様にすぎず、それ自体では個人の私生活や人格、思想等個人の内心に関する情報ではないから、プライバシーとして保護されるものではない

指紋押捺拒否事件 (最判平成7年12月15日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成7年12月15日)

4 ×
犯罪を犯した少年に関する犯人情報、履歴情報はプライバシーとして保護されるべき情報であるから、当該少年を特定することが可能な記事を掲載した場合には、特段の事情がない限り、不法行為が成立する

長良川事件 (最判平成15年3月14日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成15年3月14日)

5 〇
いわゆる住基ネットによって管理、利用等される氏名・生年月日・性別・住所からなる本人確認情報は、社会生活上は一定の範囲の他社には当然開示されることが想定され、個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえない。

住基ネット事件 (最判平成20年3月6日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成20年3月6日)


■ 判例

京都府学連事件 (最大判昭和44年12月24日)

「犯罪捜査のため容ぼう等の写真撮影が許容される限度と憲法一三条、三五条」

「警察官による個人の容ぼう等の写真撮影は、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、証拠保全の必要性および緊急性があり、その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときは、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、憲法一三条、三五条に違反しない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最大判昭和44年12月24日)


ノンフィクション『逆転』事件 (最判平成6年2月8日)

「ある者の前科等にかかわる事実が著作物で実名を使用して公表された場合における損害賠償請求の可否」

「ある者の前科等にかかわる事実が著作物で実名を使用して公表された場合に、その者のその後の生活状況、当該刑事事件それ自体の歴史的又は社会的な意義その者の事件における当事者としての重要性、その者の社会的活動及びその影響力について、その著作物の目的、性格等に照らした実名使用の意義及び必要性を併せて判断し、右の前科等にかかわる事実を公表されない法的利益がこれを公表する理由に優越するときは、右の者は、その公表によって被った精神的苦痛の賠償を求めることができる」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成6年2月8日)


指紋押捺拒否事件 (最判平成7年12月15日)

「我が国に在留する外国人について指紋押なつ制度を定めた外国人登録法(昭和五七年法律第七五号による改正前のもの)一四条一項、一八条一項八号と憲法一三条」

「我が国に在留する外国人について指紋押なつ制度を定めた外国人登録法(昭和五七年法律第七五号による改正前のもの)一四条一項、一八条一項八号は、憲法一三条に違反しない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成7年12月15日)


長良川事件 (最判平成15年3月14日)

「犯行時少年であった者の犯行態様,経歴等を記載した記事を実名類似の仮名を用いて週刊誌に掲載したことにつき名誉又はプライバシーの侵害による損害賠償責任を肯定した原審の判断に被侵害利益ごとに違法性阻却事由の有無を審理判断しなかった違法があるとされた事例」

「犯行時少年であった者の犯行態様,経歴等を記載した記事を実名類似の仮名を用いて週刊誌に掲載したことにつき,その記事が少年法61条に違反するとした上,同条により保護される少年の権利ないし法的利益より明らかに社会的利益の擁護が優先する特段の事情がないとして,直ちに,名誉又はプライバシーの侵害による損害賠償責任を肯定した原審の判断には,被侵害利益ごとに違法性阻却事由の有無を個別具体的に審理判断しなかった違法がある」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成15年3月14日)


住基ネット事件 (最判平成20年3月6日)

「住民基本台帳ネットワークシステムにより行政機関が住民の本人確認情報を収集,管理又は利用する行為と憲法13条」

「住民基本台帳ネットワークシステムにより行政機関が住民の本人確認情報を収集,管理又は利用する行為は,当該住民がこれに同意していないとしても,憲法13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成20年3月6日)

投稿者 Ren Yababa

邪抜刃 廉(やばば れん)a.k.a.フクイレン