次のア~エの記述のうち、道路をめぐる裁判に関する最高裁判所の判決の要旨として、正しいものの組合せはどれか。
ア
里道は住民に個別的具体的な利益をもたらすものではなく、その用途廃止により住民の生活に支障が生じるとしても、住民に里道の用途廃止処分の取り消しを求めるについての原告適格が認められる余地はない。
イ
道路が権原なく占有された場合には、当該道路の道路管理者は、占有者に対し、占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。
ウ
建築基準法42条2項によるいわゆる二項道路の指定が一括指定の方法でされた場合、これによって直ちに個別の土地について具体的な私権制限が生じるものでないから、当該指定は抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。
エ
国道の改築工事として地下横断歩道が設置された結果、消防法違反の状態となったガソリンタンクを移設しなければならなくなった場合、その移設にかかった費用は、損失補償の範囲には含まれない。
1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
解答
正解
4解説
ア ×
里道は住民に個別的具体的な利益をもたらすものではなく、その用途廃止により住民の生活に支障が
・ 里道の近くに居住する者が当該里道の用途廃止処分の取消しを求めるにつき原告適格を有しないとされた事例 (最判昭和62年11月24日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和62年11月24日)
イ 〇
道路が権原なく占有された場合には、当該道路の道路管理者は、占有者に対し、占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。
・ 権原に基づかない道路の占有と道路管理者の占有者に対する占用料相当額の債権の取得 (最判平成16年4月23日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成16年4月23日)
ウ ×
建築基準法42条2項によるいわゆる二項道路の指定が一括指定の方法でされた場合、これによって直ちに個別の土地について具体的な私権制限が生じるものでないから、当該指定は抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。
・ 告示により一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路の指定と抗告訴訟の対象 (最判平成14年1月17日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成14年1月17日)
エ 〇
国道の改築工事として地下横断歩道が設置された結果、消防法違反の状態となったガソリンタンクを移設しなければならなくなった場合、その移設にかかった費用は、損失補償の範囲には含まれない。
・ 道路法七〇条一項の定める損失の補償の対象 (最判昭和58年2月18日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和58年2月18日)
■ 判例
・ 里道の近くに居住する者が当該里道の用途廃止処分の取消しを求めるにつき原告適格を有しないとされた事例 (最判昭和62年11月24日)
「里道の近くに居住し、その通行による利便を享受することができる者であつても、当該里道の用途廃止により各方面への交通が妨げられるなどその生活に著しい支障が生ずるような特段の事情があるといえないときは、右用途廃止処分の取消しを求めるにつき原告適格を有しない」
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和62年11月24日)
・ 権原に基づかない道路の占有と道路管理者の占有者に対する占用料相当額の債権の取得 (最判平成16年4月23日)
「1 権原に基づかない道路の占有と道路管理者の占有者に対する占用料相当額の債権の取得
2 東京都が自動販売機を都道にはみ出して設置した者に対して占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を行使しないことが違法ではないとされた事例」
「1 道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。
2 道路占用許可を受けることなく都道にはみ出して設置されたたばこ等の自動販売機が約3万6000台もあったこと,その1台ごとに債務者を特定して債権額を算定するには多くの労力と多額の費用を要するが,1台当たりの占用料相当額は少額にとどまること,東京都は,対価を徴収することよりも,上記自動販売機の撤去という抜本的解決を優先させる必要があると判断したこと,上記自動販売機を設置した販売商品の製造業者が,東京都の指導に応じ,費用の負担をして上記自動販売機を撤去したことなど判示の事実関係の下においては,東京都がその業者に対して上記自動販売機の設置による都道占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を行使しないことは,違法ではない」
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成16年4月23日)
・ 告示により一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路の指定と抗告訴訟の対象 (最判平成14年1月17日)
「告示により一定の条件に合致する道を一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路の指定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる」
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成14年1月17日)
・ 道路法七〇条一項の定める損失の補償の対象 (最判昭和58年2月18日)
「道路法七〇条一項の定める損失の補償の対象は、道路工事の施行による土地の形状の変更を直接の原因として生じた隣接地の用益又は管理上の障害を除去するためにやむをえない必要があつてした通路、みぞ、かき、さくその他これに類する工作物の新築、増築、修繕若しくは移転又は切土若しくは盛土の工事に起因する損失に限られ、道路工事の施行の結果、危険物の保管場所等につき保安物件との間に一定の離隔距離を保持すべきことを内容とする技術上の基準を定めた警察法規に違反する状態を生じ、危険物保有者が右の基準に適合するように工作物の移転等を余儀なくされたことによつて被つた損失は、右補償の対象には属しない」
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和58年2月18日)
■ 道路法
(道路の新設又は改築に伴う損失の補償)
第七十条 土地収用法第九十三条第一項の規定による場合の外、道路を新設し、又は改築したことに因り、当該道路に面する土地について、通路、みぞ、かき、さくその他の工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は切土若しくは盛土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、道路管理者は、これらの工事をすることを必要とする者(以下「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、道路管理者又は損失を受けた者は、補償金の全部又は一部に代えて、道路管理者が当該工事を行うことを要求することができる。
2 前項の規定による損失の補償は、道路に関する工事の完了の日から一年を経過した後においては、請求することができない。
3 第一項の規定による損失の補償については、道路管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
4 前項の規定による協議が成立しない場合においては、道路管理者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条の規定による裁決を申請することができる。