水. 7月 29th, 2026

議事手続は、最終的には各議院の自律権にゆだねられる問題だとしても、憲法が定める定足数のハードルの低さを考慮に入れると、ごく少数の議員のみによって議決が成立することのないよう配慮しつつ、多数決による議決の成立可能性を確保するよう慎重な考慮が求められる。次に掲げるのは、かつて衆議院における議事手続について争われた事例である。そこで採られるべき妥当な解決として、先例および通説の立場を示すのは、次の1~5の記述のうちどれか。

1948年10月14日、衆議院における内閣総理大臣指名の手続において、以下のような投票が行われた。

議員定数 466
吉田茂  184票
片山哲  87票
その他  43票
白票   86票

1      
総議員の過半数に達したものがいないため、投票をやり直した上で、最も得票の多いものが指名される。

2      
白票を投じたものも出席議員数に算入した上で、出席議員の過半数に達したものがいないため、上位2名による決選投票になる。

3      
出席議員の3分の2以上の票を集めた候補がいないため、投票をやり直した上で、最も得票の多いものが指名される。

4      
白票には賛否いずれの意思表示も含まれていないから、白票を除いて計算すると、出席議員の過半数に達した吉田茂が直ちに指名される。

5      
衆議院ではいずれの候補も過半数に達しないため、参議院の指名を国会の指名とする。

解答         

正解
解説
1 ×
総議員の過半数に達したものがいないため、投票をやり直した上で、最も得票の多いものが指名される。

・両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる(日本国憲法 第五十六条 2項)

2 〇
白票を投じたものも出席議員数に算入した上で、出席議員の過半数に達したものがいないため、上位2名による決選投票になる。

・投票の過半数を得た者がないときは、投票の最多数を得た者2人について決選投票を行い、多数を得た者を当選人とする(衆議院規則 第八条 2項)

3 ×
出席議員の3分の2以上の票を集めた候補がいないため、投票をやり直した上で、最も得票の多いものが指名される。

・出席議員の過半数

4 ×
白票には賛否いずれの意思表示も含まれていないから、白票を除いて計算すると、出席議員の過半数に達した吉田茂が直ちに指名される

・白票も数えるのが多数説とされる

5 ×
衆議院ではいずれの候補も過半数に達しないため、参議院の指名を国会の指名とする

・内閣総理大臣の指名は、衆議院の優越が認められている


■ 衆議院規則

第八条 投票の過半数を得た者を当選人とする。
2 投票の過半数を得た者がないときは、投票の最多数を得た者二人について決選投票を行い、多数を得た者を当選人とする。但し、決選投票を行うべき二人及び当選人を定めるに当り得票数が同じときは、くじでこれを定める。


■ 日本国憲法

第五十六条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。


投稿者 Ren Yababa

邪抜刃 廉(やばば れん)a.k.a.フクイレン