水. 9月 9th, 2026

道路の設置管理に関する国家賠償についての次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものはどれか。

1      
国家賠償の対象となるのは、道路の利用者の被害に限られ、沿道住民の騒音被害とについては、道路管理者は、賠償責任を負わない。

2      
土砂崩れによる被害を防止するために多額の費用を要し、それについての予算措置が困難である場合は、道路管理者は、こうした被害についての賠償責任を免れる。

3      
道路上に放置された故障車に追突して損害を被った者がいたとしても、道路自体に暇疵があったわけではないから、道路管理者が賠償責任を負うことはない。

4      
ガードレールの上に腰掛けるなどの通常の用法に即しない行動の結果生じた損害についても、道路管理者は、賠償責任を負う。

5      
道路の欠陥を原因とする事故による被害についても、道路管理者は、それを原状に戻すことが時間的に不可能であった場合には、賠償責任を負わない。

解答         

正解
解説
1 ×
国家賠償の対象となるのは、道路の利用者の被害に限られ、沿道住民の騒音被害とについては、道路管理者は、賠償責任を負わない

国道四三号・阪神高速道路騒音排気ガス規制等(最判平成7年7月7日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成7年7月7日)

2 ×
土砂崩れによる被害を防止するために多額の費用を要し、それについての予算措置が困難である場合は、道路管理者は、こうした被害についての賠償責任を免れる

高知落石事件(最判昭和45年8月20日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和45年8月20日)

3 ×
道路上に放置された故障車に追突して損害を被った者がいたとしても、道路自体に暇疵があったわけではないから、道路管理者が賠償責任を負うことはない

87時間放置された故障車と道路管理の瑕疵(最判昭和50年7月25日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和50年7月25日)

4 ×
ガードレールの上に腰掛けるなどの通常の用法に即しない行動の結果生じた損害についても、道路管理者は、賠償責任を負う

営造物の通常の用法に即しない行動の結果生じた事故と営造物の設置管理の瑕疵(最判昭和年53月7日4)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和年53月7日4)

5 〇
道路の欠陥を原因とする事故による被害についても、道路管理者は、それを原状に戻すことが時間的に不可能であった場合には、賠償責任を負わない。

赤色灯事件(最判昭和50年6月26日)
(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和50年6月26日)


■ 判例

国道四三号・阪神高速道路騒音排気ガス規制等(最判平成7年7月7日)

「一 一般国道等の道路の周辺住民が受けた自動車騒音の屋外騒音レベルの認定に違法はないとされた事例
二 一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音等により受けた被害が社会生活上受忍すべき限度を超えるとして右道路の設置又は管理に瑕疵があるとされた事例
三 自動車騒音によるいわゆる生活妨害を被害の中心として多数の被害者から一律の額の慰謝料が請求された場合についての受忍限度を超える被害を受けた者とそうでない者とを識別するための基準の設定に違法はないとされた事例」

「一 一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音にほぼ一日中暴露されている場合、右道路の周辺地域を交通量によって三地域に道路構造によって四区画に分類した上、右道路端からの遠近や右道路への見通しの程度に基づき、周辺住民を合計一九のグループに分け、鑑定の結果を基本にして、右グループごとに上限と下限の等価騒音レベルによる数値を抽出し、その幅のある数値をもって同一のグループに属する各住民が日常暴露された原則的な屋外騒音レベルと推認することに違法はない。
二 一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音等により睡眠妨害、会話、電話による通話、家族の団らん、テレビ・ラジオの聴取等に対する妨害及びこれらの悪循環による精神的苦痛等の被害を受けている場合において、右道路は産業物資流通のための地域間交通に相当の寄与をしているが、右道路が地域住民の日常生活の維持存続に不可欠とまではいうことのできないいわゆる幹線道路であって、周辺住民が右道路の存在によってある程度の利益を受けているとしても、その利益とこれによって被る被害との間に、後者の増大に必然的に前者の増大が伴うというような彼此相補の関係はないなど判示の事情の存するときは、右被害は社会生活上受忍すべき限度を超え、右道路の設置又は管理には瑕疵があるというべきである。
三 一般国道等の道路の供用に伴う自動車騒音によるいわゆる生活妨害を被害の中心とし、多数の被害者から全員に共通する限度において各自の被害につき一律の額の慰謝料が請求された場合について、受忍限度を超える被害を受けた者とそうでない者とを識別するため、被害者の居住地における屋外等価騒音レベルを主要な基準とし、右道路端と居住地との距離を補助的な基準としたのは、侵害行為の態様及び被害の内容との関連性を考慮したものとして不合理ではなく、この基準の設定に違法はない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判平成7年7月7日)


高知落石事件(最判昭和45年8月20日)

「一、国道への落石の事故につき道路の管理にかしがあると認められた事例
二、国家賠償法二条一項に基づく損害賠償責任と過失の要否」

「一、国道に面する山地の上方部分が崩壊し、土砂とともに落下した直径約一メートルの岩石が、たまたま該道路を通行していた貨物自動車の運転助手席の上部にあたり、その衝撃により、助手席に乗つていた者が即死した場合において、従来右道路の付近ではしばしば落石や崩土が起き、通行上危険があつたにもかかわらず、道路管理者において、「落石注意」の標識を立てるなどして通行車に対し注意を促したにすぎず、道路に防護柵または防護覆を設置し、危険な山側に金網を張り、あるいは、常時山地斜面部分を調査して、落下しそうな岩石を除去し、崩土のおそれに対しては事前に通行止めをするなどの措置をとらなかつたときは、通行の安全性の確保において欠け、その管理にかしがあつたものというべきである。
二、国家賠償法二条一項による営造物の設置または管理のかしに基づく国および公共団体の損害賠償責任については、過失の存在を必要としない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和45年8月20日)


87時間放置された故障車と道路管理の瑕疵(最判昭和50年7月25日)

「国道上に駐車中の故障した大型貨物自動車を約八七時間放置していたことが道路管理の瑕疵にあたるとされた事例」

「幅員七・五メートルの国道の中央線近くに故障した大型貨物自動車が約八七時間駐車したままになつていたにもかかわらず、道路管理者がこれを知らず、道路の安全保持のために必要な措置を全く講じなかつた判示の事実関係のもとにおいては、道路の管理に瑕疵があるというべきである」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和50年7月25日)


営造物の通常の用法に即しない行動の結果生じた事故と営造物の設置管理の瑕疵(最判昭和年53月7日4)

「営造物の通常の用法に即しない行動の結果事故が生じた場合において、その営造物として本来具有すべき安全性に欠けるところがなく、右行動が設置管理者において通常予測することのできないものであるときは、右事故が営造物の設置又は管理の瑕疵によるものであるということはできない」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和年53月7日4)


赤色灯事件(最判昭和50年6月26日)

「県道上に工事標識板赤色灯標柱などが倒れ赤色灯が消えたままであつても道路の管理に瑕疵がないとされた事例」

「県道上に道路管理者の設置した掘穿工事中であることを表示する工事標識板、バリケード及び赤色灯標柱が倒れ、赤色灯が消えたままになつていた場合であつても、それが夜間、他の通行車によつて惹起されたものであり、その直後で道路管理者がこれを原状に復し道路の安全を保持することが不可能であつたなど判示の事実関係のもとでは、道路の管理に瑕疵がなかつたというべきである」

(裁判所 裁判例結果詳細 最判昭和50年6月26日)

投稿者 Ren Yababa

邪抜刃 廉(やばば れん)a.k.a.フクイレン