火. 4月 28th, 2026

行政不服審査法に基づく審査請求の裁決と取消訴訟との関係について、妥当な記述はどれか。

1      
審査請求の裁決に不服がある審査請求人は、これに対して取消訴訟を提起して争うことができるが、それ以外の者は、裁決に不服があっても取消訴訟を提起することはできない。

2      
違法な処分に対する審査請求について、審査庁が誤って棄却する裁決をした場合、審査請求人は、裁決取消訴訟により、元の処分が違法であったことを理由として、棄却裁決の取消しを求めることができる。

3      
審査請求の裁決には理由を付さなければならないが、付された理由が不十分であったとしても、裁決に対する取消訴訟において、理由の記載の不備のみのために裁決が取消されることはない。

4      
適法な審査請求が審査庁により誤って却下された場合には、審査請求の前置が取消訴訟の訴訟要件とされていても、審査請求人は、審査請求に対する実体的な裁決を経ることなく、元の処分に対する取消訴訟を提起できる。

5      
処分に対して審査請求がなされた場合においても、当該処分の取消訴訟の出訴期間については、当該処分を知った日の翌日が起算日とされ、この期間が経過すれば、審査請求の手続の途中でも、当該処分に不可争力が生じる。

解答         

正解
解説
4 〇
適法な審査請求が審査庁により誤って却下された場合には、審査請求の前置が取消訴訟の訴訟要件とされていても、審査請求人は、審査請求に対する実体的な裁決を経ることなく、元の処分に対する取消訴訟を提起できる。

判例「 所得金額更正に関する審査請求の却下決定が違法な場合における右更正処分の取消を求める訴の適否

「所得金額更正に関する審査請求の却下決定があつた場合でも、右却下が違法である場合には、右更正処分の取消を求める訴は審査の決定を経たものとして適法である」

「国税庁長官又は国税局長が誤つてこれを不適法として却下した場合には本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、却下の決定であつてもこれを前記規定にいう審査の決定にあたると解すべきことは原判示のとおりである」

( 最判昭和36年7月21日)


判例「 審査決定の理由附記が不備とされた事例

「審査決定の通知書に「貴社の審査請求の趣旨、経営の状況、その他を勘案して審査しますと、芝税務署長の行つた青色申告届出承認の取消処分は誤りがないと認められますので、審査の請求には理由がありません」と記載しただけでは、理由附記としては不備であつて、審査決定は違法として取り消すべきである。」

「その理由としては、請求人の不服の事由に対応してその結論に到達した過程を明かにしなければならない。(中略)理由にならないような理由を附記するに止まる決定は、審査決定手続に違法がある場合と同様に、判決による取消を免れないと解すべきである。」

( 最判昭和37年12月26日)


■ 行政事件訴訟法

(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなお処分又は裁決の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たっては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害することとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

(取消しの理由の制限)
第十条 取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
2 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。

(出訴期間)
第十四条 取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
3 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があったときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があったことを知った日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

投稿者 renyababa

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